本当の進路指導って何?
興学社高等学院校長の佐藤純平先生にお話を伺いました。この学校は、週5で通うところであるにも関わらず、通信制高校と連携している技能連携校の中でも発達特性のある子に大変な人気校として知られています。 その秘密は、「技能連携校※」だから、というのが一般的な見方でした。ですが、そうではありませんでした。 「理想論ではなく、現実から目をそらさず導くことこそ真の進路指導である」このような理念に基づき、体当たりで一人一人の子どもの将来に向き合っていました。
結局、傷つくのは子どもたち
「発達特性のある子たちの指導は、理想で語られるものではない。そんなことを言われても無理だ、というようなことが家庭でも教育現場でも起こります。でも世間では、いざ特別支援教育だ、インクルーシブだなどといった”形だけの枠組み”が先行していく。 結果、現場が苦しくなり、その合間で子どもたちが結局傷ついているのが現状なんです。」こんな言葉から校長のお話は始まりました。
生きるってどういうこと?
「笑顔で生きる権利は全ての人にあるんです。」校長は続けます。「だからこそ、形だけ『〇〇大学に入ったらえらい』『大企業に就職すればとりあえず安心』といった不確かな未来に夢を抱くことに対し、親にも子にも、何のためか?それは本当に幸せな道なのか?ということを正しく知ってもらう必要があります。」 世間がこういうから、親が期待しているから… ただそれだけの理由で未来を選んだ先に待っているのは、思い描いている世界と自分が出来ることとのミスマッチ。 続かずに辞めてしまい、その後再就職が難しかったり、否定されたように感じて一生立ち直れないほど傷ついてしまったりすることもあります。 そんな悲劇に遭わないためにも、「生きるとは?」「働くとは?」「納税の意義は?」といったことから教育しているとのこと。そこをきちんと教えることで、「自分らしく生きていいんだ」「自分に合う働き方をすればいいんだ」と子どもたちが安心し、納得するのだそうです。
(行動心理士/心理カウンセラー)
社会で生き抜くために必須の力
特に力を入れていることが「SST(ソーシャルスキルトレーニング)」。社会で生きていくためには、どのような形であれ、コミュニケーションが自力で取れるようになることが何よりも大事。これは子どもたちに指導しながら痛感していることでもあります。
具体的な進路について
私が最も気になったのは、「発達特性・発達障がいは、本当に個人差が大きく、実際にはどこまで指導できていて、具体的にはどんな進路へと導いているのか?」ということでした。 10年以上、そうした子どもたちと接してきた私はその難しさ、責任の重さを痛感していたからです。 佐藤校長の答えは、 「とことん一人一人と話をしながら、一緒に探していく」でした。 大学進学することもあれば、障がい者枠で就職することもある。時にはそれはあきらめた方がいいと、本人のみならず保護者の方へもはっきり言うこともある。もちろん、うまくいかないこともあるけれども、卒業後も何かあれば相談しに来てくれるので、継続的に心の支えになれている。 「本音でぶつかってきてくれる、自分を全力で受け入れてくれる…そんな先生に一度心を開いたら、生徒も保護者の方も信じてついてきてくれます。」佐藤校長は力強く真っすぐこちらを見てそうおっしゃいました。
「この人がわかってくれる」
「この人に認められ続けたい」
そんな思いが、子どもたちを立ち上がらせ、社会に出る勇気を与え、頑張り続けられる力の源となっているのだと感じました。
学校教育法に従って公的に制度化されている技能連携制度を利用して「専門的な勉強」をしながら、通信制高校で「高校卒業資格取得」を目指すことのできる施設(都道府県の教育委員会が指定)のことです。一般的には専門学校高等課程が多いですが、企業・団体が運営することもあります。そこでの専門的な技術・技能の習得のための勉強を、高校の教科として認めています。具体的には技能連携校に入学と同時に、提携している通信制高校にも入学します。二つの学校の勉強は大変だという印象がありますが、実際は「専門的な勉強」の一部が通信制高校の卒業単位として認められるので、負担が倍になるということはありません。
企業基本情報
| 学校名 | 興学社高等学院 |
|---|---|
| 課程・体制 | 通信制課程・単位制(2学期制、男女共学) |
| 所在地 | 〒270-0034 千葉県松戸市新松戸4-35 |
| 電話番号 | 047-309-8181 |
聞き手・執筆
倉澤 けい
子どもの発達デザイン研究所代表。発達特性や成績不振に悩む子を多数指導。5500件超の実績。著書に『子どもの“わからない”を“わかる!”に変える「国語脳」の作り方』がある。
2026/3/31取材
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