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2024.09.04

《親の本音と子の本音》

子どもにとって成長と共に家族のイメージが移り変わって行く。子どもにとっては、幼い頃に包容力と慈しみで輝いていた家族が思春期の頃になると古い価値観を持って押しつけ介入してくる、うっとうしい存在でしかなくなる。親は、先のことを心配して子どもに愛情を持って接し、アドバイスしているのだと思っているが、子どもの側からはうっとうしい、放っておいて欲しいと拒絶するようになる。やっかいなのは、コントロール感覚と愛情とがグラデーションになっていることだ。

「子どもの将来を思ってこそ」と親が関心を持ってコントロール願望を発揮すればするほど、子どもの方は親のエゴとしか受け取れなくなってしまう。

親は、「小さい時は素直で優しい子だったのに、急に反抗的になってしまった。この先が思いやられる。」と、先のことを心配する。しかし、反抗期がないことの方が心配である。

家族といえども価値観はひとり一人が違って良い。人にはそれぞれマイルールがある。家族といえども父・母・兄弟・姉妹とみな自分なりのマイルールを持っている。お互いに他の人のマイルールを認め、参考にしながら自分のマイルールと上手く融合させていくと良いのだが、そんなに上手くいかない。お互いが正論を主張するのではなくグレーゾーンの部分を持ち、「そんな意見もあるのだな~」と、思うことが必要だ。

文化の移り変わりと共に価値観も変わってくる。今の時代に求められているものは何かを考えるのだが、それを追求していく中で、守るべきこと、変えるべきことは何かを柔軟に対応できる思考が大切だと思う。

 スイミングアドバイザーの岩崎恭子さんが以前こんなことを話していた。「私の母は、○○しなさいと、言うことは全く無かった。私は、○○しなさい。と言われた方がどんなに楽だっただろうと思った。でも母は、何かあっても何も言わずに見守っていた。だからこそ私は、自分で考え、自分で行動し、自分で責任を持てるようになって、強くなれたのだと思います。」黙って見守ることはかなり難しいと思う。ついつい口が出てしまいます。

 でも、子どもはしっかり見守っていてあげることで、自分で考え成長していきます。

子どもからSOSが出された時、何かアドバイスを求められた時、子どもと一緒に考え、サポートすれば良いのです。黙って見守るのは、親としてかなり葛藤があります。親は、子どもの行うことや失敗が先に分かってしまうからです。そこをぐっと我慢して見守ることで親も子どもと共に成長するのだと思います。

                      

NPO法人21世紀教育研究所

向井 幸子

臨床心理士
向井幸子プロフィール(通称さっちゃん先生)
 
1993年不登校という言葉もまだなかった時代、まだ日本で黎明期のオルタナティブスクール・スタッフとして勤務。そこで友人、教師、学校、家庭、自分自身などで悩み葛藤する数多くの生徒と出会い、臨床心理士として活動を始め、延べ数万人の支援を実施。
その後、数多くの実績を買われ公立小・中学校の教員のためのスーパーバイザーとして活躍し通信制高校カウンセラーを経て現在NPO法人21世紀教育研究所シニア
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